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| ■ コンビニ裁判 |
明後日6月11日、セブンイレブンを相手に加盟店が裁判して戦っているロスチャージ事件の最高裁の判断が下る。
商売をやってる人やその他のFC加盟店、関係者が固唾をのんで見守っているといってもいい。
自分もその一人だ。
結構注目の裁判だというのにマスコミでコンビニ裁判についてほとんど報道されないのはなぜか?
それはスポンサー圧力が働いているからだ。
コンビニ資本はマスコミにとって超が付くほどおとくいさんなのである。
ロスチャージとは簡単に言うと廃棄した商品にもマージンが加算されることを指す。
¥100円(原価¥80)のおにぎりを10個仕入れて一個売れ残り廃棄するとする。
本来売れた金額は¥100x9=900(原価¥80x10=800)
粗利は 900-800 で¥100
この \100に45%の手数料を本部にとられる。(セブンの場合)
加盟店の利益は本来 ¥55 にならなければならない。
これなら問題ないのだが、
しかし本部はチャンスロスを防ぐため、また売り場がガラガラにならないよう1割は廃棄するつもりで発注せよと指導する。
本部のマージンの計算はこうだ、
上記の例でいえば1個廃棄した場合
マージン(¥81)=(\900 −(\800-\80)) x 45%
加盟店の利益はなんと \100-\81= \19となる
大変妙な方程式を使う。
つまり廃棄したおにぎりは仕入れがなかったこととして処理されるのだ。
仕入れがなかったとするためロスにチャージがかかっているわけではないというのが本部側の主張である。
このことを本部は「純売上原価」などと会計上存在しない概念を振りかざし曖昧模糊と主張する。
事実上ロスにチャージがかかっているのにかかわらずだ。
ここに詐称性がある。
この詐称性のからくりを作り上げたFCが加盟店が閉店、自殺、破産、行方不明が多発しているというのに、いまだに増収増益を続けている理由はここにある。
またこのカラクリをいまだにしらないでいる加盟店さんも多いと聞く。
法学博士 北野教授はセブンイレブンを豊田商事以来の詐欺集団であると位置づけている。
このような手数料の計算方法は加盟するとき聞いていなかったというのがほとんどの加盟店である。
一割廃棄するつもりで発注せよという指導と廃棄にもチャージがかかるような計算方法は明らかに矛盾であり、過去にさかのぼって取り過ぎた手数料を返せというのが原告側の主張である。
コンビニ裁判は昔は加盟店は絶対に勝てないというドンキホーテ裁判だったのだが、最近は特に2003年以降コンビニを経営する人で破産者 自殺者 行方不明者 離婚者が急増するようになり、
社会問題になってきたため、たった1人しかいなかった弁護士さんは15人に増えた。
捨て置けなくなってきたからだろう。
また地裁や高裁で勝訴するケースがチラホラえてきた。
またもう一つ焦点をしぼった裁判もある、「ピンハネ事件」である。
加盟店は他の問屋さんからは仕入れができない。
そこにつけこんで本部はかなりの売買差益をとっている。
FC側はここらへんの資料を一切出そうとしない。
コンビニ裁判の弁護士団調査ではローソンでは実に20.0%の売買差益を加盟店から取っているという。
普通一般の問屋でも10%もとらないというのに、
本部は問屋ではなく加盟店支援システムだあるためもともと売買差益は取ってはならない、
これもさかのぼって返せというのが加盟店側の主張である。
当然である。
なぜならマージンを別途ちゃんと取っているからである。
実際自分もセブンイレブンの商品台帳を内緒で見せてもらって驚いたことがある。
ものすごく高い。
たとえば「マルチャン焼きそば弁当」という商品の原価は¥114だった。
売りは ¥143である。
でもそのときイトウヨーカドーの月間特売で¥88(無制限)でその商品は売られた。
仕入れ元は同じなのにです、
¥88で無制限で売っているヨーカドーはどう考えても¥88以下で仕入れしてるに決まってるわけですよね。
あきらかに加盟店は搾取されるため24時間奴隷のように働かされているわけであります。
もし途中脱退すると高い違約金を払わされる。
なのでやめるにやめられない そんな加盟店だらけなのである。
続けるも地獄、やめるも地獄、
「加盟店は生かさず殺さず」、まるで徳川幕府の農業政策ではないか。
もし今回加盟店側が勝てば状況は一変するだろう。
全国でコンビニ裁判が多発することになる。
10年以上も加盟してるところは何千万と返ってくるので当然そうなるというのが大方の見方である。
しかし裁判が多発するとFC業界は衰退、破綻に向かう。
それがわかっていて最高裁は加盟店勝訴とするだろうか?
するわけがないという見方も強い。
自分も数年前まで個人商店をやっていた。
酒とタバコの免許があったためFCのリクルーターがしょっちゅうきた
セブン、ローソン、セイコーマート、順番にやってきた。
無下に返すと報復措置が怖いという噂を聞いていたためお茶を飲んで帰ってもらっていた。
その後、結局うちの店は閉店することとなったが、あの時加盟しなくて良かったといまでも思う。
ただ人事とは思えない。
この小さな町でもコンビニを経営する者の中で自殺者や行方不明者が出ている。
友人も苦しんでいる。
どうにかしてやりたい。
しかし本部勝訴の場合、FC加盟店の自殺、破産、行方不明、離婚の数がさらに加速する。
そんなターニングポイントイヤーに今年はなってしまう 間違いなく。
| ■ なすびの一本漬け |
今うちの店の隠れたヒット商品と言っていいものがあります。
なすびの一本漬けであります。
この商品を遠くから買いに来てくれる人がけっこういて ありがたいことだと思ってますです。
「入院しているお母さんに」と言ってお見舞いで買っていく人や
「仕上がったら電話してくれ」とレジのパートさんに頼んで帰っていく人。
ですから毎日販売したいとこなのですが、またもし毎日販売出来たとしら結構評判になるでしょうし、
お店のいい宣伝材料になるところなのでしょうが、残念、
残念ながら この一本漬けに適したなすびはたまにしか市場に入荷しないのです。
なすびであれば何でもいいという訳ではないので週に1度(10k)くらいしか漬けれないのです。
ですから いわゆる うちの店の限定商品ってやつになりつつあります。
塩だけで漬けるのでむっちゃなつかしい味なんだと思います。
また塩という一種類だけのシンプルな味付けなため、木樽でつけなければなりません。
昔なつかしい木樽がここで登場するのです。
なぜ木樽で加工しなければならないかと言うと、
プラスチック樽やビニール袋を使うと塩だけのシンプルな味なため、
プラスチックやビニールの匂いがなすびにかすかに付いてしまいます。
10人中1人くらいの割合でこのかすかなビニール系の味を嫌がる人がいます。
(いわゆる味覚の達者な方です)
それゆえ木樽使用となります。
レトロな雰囲気を出すために使用する訳ではありません。木樽が一番いいから木樽を使うのです。
シンプルな味を壊さない樽は木樽しかないのです。
なすびは前の晩寝るとき重石をかって次の日の朝出来上がってます。
いわゆる一夜漬けというやつです。
生漬かりとは違います。ちゃんと漬かってます。
個人的には4時間くらいしか重石をからない生漬かりのなすびに正油をかけて食べるのが好きなのですが、
今のお客さんに 生漬かりの価値をわっかてもらうのはむずかしいため、かっちり目に漬けます。
ちょっとでも漬かってないと苦情の対象になってしまうので生漬かりは販売できません。
正直言うと 生漬かりを販売できないのは残念でなりません。一番おいしいんですけどねぇぇぇええ。
実はこの茄子の一夜漬けを 私は何年も苦労して作れるようになりました。
何年も失敗して試行錯誤のうえに一定の味が出せるまでになりました。
ゆえに誰にもマネできないだろうと私の自信満々の一品なのです。
食べごろは漬かった日とその次の日くらいなのです。
三日目 四日目は防腐剤を入れてないので、菌が増殖する可能性がでてくるので、
その日かその次の日くらいが賞味期間となります。
大量生産できない理由がここにあります。
また一夜漬けに適した茄子は冷蔵庫にいれると硬くなってしまうという特性を持っているため常温で加工、販売しなければなりません。
これもまた大量生産 大量販売できない理由のひとつです。
ここで悪魔が鎌首をもたげます。
実を言うと 防腐剤(保健所も推奨する)や柔らかさを保持する保存料を 小さじ一杯 樽の中にたらすだけで
このおいしい茄子を大量生産でき、冷蔵庫保存もでき大量販売可能となります。
商品の日持ちが確保されるため、安定供給可能となり、販売ルートも確保でき毎日
お客様のニーズとかいうやつにお答え出来るようになります。
「なんだぁ添加物使ってるんじゃないか」と文句をいわれたら、大手のコンビニの弁当のように
添加物のジャンルに属さない防腐剤を使い、「あ 防腐剤使ってる!」と指摘を受けたら
「いえ うちは防腐剤ではなく菌増殖防止剤を使用しているので添加物ではありません。
ですから添加物を使用してませんといううたい文句はまちがいではありません。」というような理論武装をすればいいだけなのです。
現在の食の流通システムは残念ながら、
こういった 供給側にだけ都合のいい屁理屈のような理論武装の論理によってねじ伏せられているのです。
この人口的な防腐剤や保存料の味を見抜く方も中にはいらっしゃるのですが、いかんせん 上述しましたように
味覚の達者な方は10人に一人ときてますので、たった1割の人間の訴えなど、業者は簡単に煙にまけるのです。
皆さん うちのなすびを食べてみて下さい。でも
「市販されてる漬物は1週間たっても食べられるのに、
お宅のつけものは3日置いただけですっぱくなる」などと文句をいわないで下さい。(笑)
しかし 私は添加物を否定するつもりはもうとうありません。
どこだかの評論家のように「無添加 無添加」を連呼するすもりはありません。
この添加物という物に我々は実は大変助けられています。
自然食品愛好家のよくかかる病気は食中毒です。
食物は製造されすぐ食べるのであれば自然食品ほど健康な物はないのでしょが、ちょっとでも時間のたった自然食品ほど危険なものはありません。
防腐剤が身体に蓄積していく不健康さと、有害な菌が増殖した食べ物の毒素による不健康と どちらかを選択しているにすぎません。
私はこう思います。
漬物くらい自分で作りましょうよ。
| ■ ハサミと包丁 |
昔、料理人と呼ばれる人々は自分が使い慣れている包丁を
さらしに巻いて職場を渡り歩きました。
今時代は変わりました。冷凍食品や業務用レトルト食品の発達で
調理は業務用レンジで温めるだけ、湯煎するだけ、蒸して解凍
するだけで出来てしまうので、自分自身の包丁を持っていると
いう料理人さんは少なくなってきたのです。変わりに自分の
使い慣れたハサミと缶切りを持ち歩いています。
美瑛の近くの温泉ホテルの厨房の1コマです。
「まるごとポテトカレー オーダー入りました。!」
「はいよ!」
料理人さんは すでにゆでで冷凍されたパッケージものの
ジャガイモの袋を冷凍庫から取り出し
熱湯の中に放り込みます。その間にハインツの業務用カレー缶
の1号缶を缶きりでキリキリとあけ、適量取り出し皿に盛り
1600w(200V)の業務用レンジで約45秒温め、そして
ちょうど良く解凍されたじゃがいもの袋を取り出し、腰に
携帯しているハサミをまるで西部劇のガンマンのように早業で
引き上げ、人差し指をハサミの軸に入れリボルバーの拳銃
さながらに1回転させ、じゃがいもの袋をシュイーっと
見事なスピードで切り裂き、カレーの中にドボッと入れ
出来上がりです。
「まるごとポテトカレー いっちょーあがりー!
「えびシューマイ オーダー入りました。!」
「はいよ!」
料理人さんは 冷凍のパッケージもののえびシュウマイの袋を
取り出し、ビリーザキッドのような軽快な動きで、袋を
ハサミでシュイーっ。蒸し器の中にバラバラに入れまつこと
10分、
「えびしゅうまい いっちょーあがりー!」
「山菜おこわ オーダー入りました。!」
「はいよ!」
冷凍のおこわの袋にところどころ穴をあけ蒸し器に入れ
待つこと12分、袋を取り出しハサミでシュイーっ
皿に盛って
「山菜おこわ いっちょーあがりー!」
こんな調子なんですよ〜 温泉街は....
ごぞんじでしたか〜?
ちなみに層雲峡の温泉街にはもっとすごいハサミの使い手が
何人もいるそうです。
よーするにホテルや旅館は気難しい包丁の使い手を高い給料を
だして雇わなくてもよくなった訳です。バカとハサミは
なんとかという言葉がありますがハサミが使える人間なら
それで良い訳です。
先日
知り合いの魚屋さんが仕事が忙しいので、人を募集しました。
もちろん「経験者優遇」という一行を添えて..。
ここは納品業務が主体の魚屋さんなので1日で鮭の切身を
2000切れくらい切ります。
募集広告を出した次の日、面接に旭川の有名な某大手スーパー
で5年間鮮魚部門に勤めていたという30代の男性が
やってきました。
「いや〜あなたみたいな人を待ってたんですよ!ぜひぜひ
すぐ明日から来て下さいネ!」
即決でした。
「こりゃーすごい戦力になるかも!」
その魚屋さんは喜んだのですが、次の日 その新人さんに
「さあ!とりあえず、その鮭 おろして 切身作って!
包丁はそこらへんにあるやつ、好きに使ってね!
しばらく感がにぶってるだろうから
今日はゆっくりやってもらっても OKだよ〜!」
そのあと新人さんの口から出てきた言葉に魚屋さんは耳を
疑いました。
新人「あのー 私 一度も鮭って下ろしたこと無いんですけど
どうやっておろすのでしょうか?」
魚屋「........はあぁ.......」
「じゃ..じゃ..三枚におろしたのだったら切身に出来る?」
新人「それもできません。」
魚屋「........」
「君 だって5年間 魚屋だったんでしょ?スーパーで
新人「そうです。!」
魚屋「じゃー...じゃー...鮭とか売ってたよね!そーだよね!」
新人「そうです。!でも1切れ1切れ冷凍になってる鮭を
仕入れて それをパックしてましたから、おろしたり、
切身にしたりはやったことないんです。」
魚屋「....はあぁぁ....」
「じゃーもしかしてもしかすると寿司ネタとか切れない
訳?」
新人「切れません」
魚屋「ぜんぜん?」
新人「ぜんぜんです。でも教えてもらったら出来るようになる
かもしれません」
魚屋「....しれません..たって..あんた....」
新人「寿司ネタは もうすでに切ってパックして冷凍になった
物が本部から送られてくるもんですから、後はそれを
並べるだけだったんです」
魚屋「........」「じゃーあんた 何やってたん?」
新人「.......発注です。あとリパックと伝票整理。」
そのあと、魚屋さんが、いかりあ長介のマネで
「ダメダコリャー!」と
言ったかどうかは定かではありません。
| ■ とうきびのゆで方 |
道内も とうきび(とうもろこし)の出荷が先週から始まりました。
まだまだ道産とうきびは高値なので我々の口に入るのはもうちょっと
後かもしれません。
ところで去年の話になるのですが あるお客さんが
「最近はおいしいとうきびにあたったことがない!」
というんです。「へっ?」とおもいました。
沢山おいしいとうきびが出回っているのに「何で?」と思いました。
「もしかして もしかして ゆで方が間違ってるんじゃないかな!」
それからとうきびを買って行くお客さん達に「どうやってゆでてるの?」と
聞きまくりました。そして驚きました。仰天です。北海道人間失格です。
ほとんどのお客さんがゆで方を間違っているのです。
「何分ゆでてるの?」という問いに対して一番おおかったのが
「20分くらい」。
2番目は「15分くらい」でした。
今のとうきびは昔と違って品種改良がすすんでいるため皮がやわらかく
「未来」と言う品種で三分
「ピーターコーン」で5分
「ハニーバンタム」で7.8分でOKです。本当です。ウソではありません。
20分もゆでるとおいしいのが全部外にでちゃって とうきびの残骸を
食べることとなります。おいしいわけがありません。
しかし おとしよりにこの説明は無理があったようでした。
昔からとうきびは20分ゆでなきゃダメだと伝統のように教えられ
固定観念化して覚えている人には信じてもらえないような感触を得ました。
今はたった5分でできてしまうわけですから、とうきびはいわば
すばらしいファーストフードなのです。しかも栄養的にも、また
西洋人より小腸の長い穀物型日本人の内臓にピッタリの食材なのです。
もっともっととうきびを食べ宣伝しましょうよ!
「たった5分でできるんだよ!」と...
一応 いけださんちのとうきびのゆで方を下記にしるします。
(ピーターコーンの場合)
1.なべにたっぷり目の水を入れ適当な量の塩を入れる。
(塩といってもここでの塩はとうきびの甘味を引き立たせるための
意味合いで入れる塩なので塩加減にびビビル必要はありません。
よくスイカに食塩を振り掛けて食べたりしますよね、その時、塩加減を
気にしてスイカに塩を振る人はいないと思います。それと同じで
あえて適当と表現しました。また さら湯でゆでると浸透圧の関係で
水っぽい味になってしまうんだと思います。それをふせぐための
塩でもあると思います。)
(とうきびを入れるとき鍋の温度が下がるので、なるべく鍋は大きめで
水はたっぷり目の方が良い)
2.完全に沸騰してから、皮をむいたとうきびを入れ落とし蓋をして5分まつ。
(落とし蓋がなければ ちょうどいい大きさのお皿でもOK!
落とし蓋をすればしょっちゅうとうきびをひっくり返す必要が
なくなる。)
3.とうきびを水にくぐらし荒熱を取る。(氷みずでも良い)
(荒熱をすぐとってやることで水分の蒸発を防ぎ粒と粒の間に隙間が
できにくくする。
何時間も後で食べる場合はラップをすると粒の隙間は出来ない)
(さら湯でゆでて、最後に塩水にくぐらすという人もいるようですが
それでもよいとおもいますが上述したように浸透圧の関係で
栄養価の流出を考えると塩水ゆでをお勧めします。
ふきこぼれた塩水でコンロが錆びるからいやだと考える方には
残念ながら水ゆでをお勧めします。)
| ■ 前川商店と子供の将来 |
私には子供がいます。
雪印の失態に代表されるように今の食品業界やスーパーマーケットの
インチキ性をこれから子供に伝えていこうという気はしません。
がしかし、旭川に前川さんという八百屋さんいます。
ここの店には子供に伝えていきたいものがゴロゴロしてます。
うちの店はこの店を目標にしています。
例えば とってもおいしい煮ブキが売られてます。もちろん無着色です。
このふきは前川さんの知合いのおじさんが何度も熊に遭遇しながらも
とってきた若いラワンブキを塩漬けしたものです。常連のお客さんだけが
このフキを買うことができます。
その前川さんの知り合いのおじさんは
「この前 フキを取りに行って 昼に食べようと思って持ってった弁当
ちょっと別な場所に行っとるあいだに熊に食われてたわ! ワハハハ!」
と語ります。命がけで取ってきたわけです。以前
「今度一緒に フキ 取りに行かないかい?」と誘われたことがあるのですが、
もちろんことわりました。(笑)
ここで売られている切りゴボーはやわらかそうなゴボーを市場で探してきて
自分の手で切り 5、6回水であく抜きし販売してます。
なぜこんな手間をかけてうるのかというと、市販されている切りゴボーは
漂白剤を使っているので、おいしくないからです。
年末から2月頃にかけて 常連さんに対してこの店で売られている沢庵は
絶品です。
今の沢庵はなぜおいしくないかと言うと、漬物業者さんの9割が
中国産の漂白した大根の塩漬けを輸入しそれを水でもどし沢庵を
作っているからです。1本10円くらいで買るそうです。
昔の沢庵は新漬け沢庵も含めてとってもおいしかったですよね。
沢庵だけで何倍もご飯を食べれた記憶が残っているのは私だけではないはずです。
あのなつかしい沢庵がこの店で買えます。もちろんこのおじさんが自分で干して
自分で漬けたものです。
4月から秋にかけて なすびの1本漬けがたまにこの店頭に並びます。
食べる時は まるかじりが1番です。カステラのようにやわらかくて
おいしいのです。上手になすびを1本漬けする方法を数年前私は
このおじさんにラッキーにも教わりました。
「なーんだ」というようなコツなのですが、この「なーんだ」を
発見するのに大変な苦労がいるのです。このおじさんは機嫌が良い日は
何年も苦労して発見したノウハウを気前良く我々に教えてくれます。
聖護院大根やタイナの粕漬けも最高です。
今の漬物屋さんは粕漬けやにしん漬けや朝鮮漬けはインスタントエキスを
使って作ります。エバラの浅漬けの素はごぞんじでしょう。にしん漬けの
素みたいなエキスがあるのです。業者向けに斗缶で売られている物を漬物屋
さんは買いこれで大量生産します。ですからまあまあおいしい物しか
出来ないのです。
前川さんは自家製のつけものが売れてしょうがないので、
自宅に漬物工場を作ってしまいました。
この前川商店では添加物がどうとか着色材がどうとかの理屈はあまり
意味を成しません。もしかすると添加物という言葉すらこのおじさんは
知らないかもしれません。ただ昔ながらの方法で販売しているだけです。
昔当たり前だった事柄が 今 周りからは稀有に見えるのです。
このおじさんが語る青果物の説明は妙に説得力があります。
何故なんでしょう。それはきっと何十年もかけて経験し体感し獲得した
知恵の内容に支えられているからです。知識とは所詮付け焼刃でしか
ないことをこのおじさんとしゃべってると思い知らされるのです。
皆さんもこんな店でお買い物はいかがですか?
でもこのおじさんは一見さんを嫌います。この店では客を選びます。
気に食わないお客さんには物を売ってくれません。そのため
詳しい場所などはここで紹介いたしません。こういうお店に興味のある方は
私にお尋ね下さい。この店で常連さんになれるコツをお教えいたします。
私はこう思います。
こんなお店屋さんがまだ現存しているのです。
子供達の将来もまだまだすてたもんではありません。
| ■ 野原さんの飲み方 |
前回紹介した野原さん(仮名)はお店屋さんです。お酒が大好きで、夕方から酒を飲んでます。
酒のにおいをプンプンさせてレジをうちます。
なんとかならないのでしょうか。
野原さんは夕方3時ころになると、20度のワンカップ焼酎を飲み始めます。
奥さんに飲んでるのを見つかると怒られるので影でこそっと飲みます。
即効で隠れて飲む癖が染み付いてしまったのか、ワンカップ焼酎を
2秒ぐらいで一気に飲んでしまうのです。それを横で見てる私には 瞬間的にワンカップの
中身がカラになる訳ですから、手品を見てるみたいなのです。
そしてそのカラのワンカップの空ビンをゴミ箱に捨てると また奥さんに見つかり
怒られるのではないかと思う野原さんは、その空ビンを焼酎が入っていたもとの箱に
戻してしまいます。
次の日 野原さんの店で働いているパートさんがそのカラの焼酎をカラだと気づかづに
値付けして、売り場に陳列することになります。
野原さんの店でよく空ビンに値段が付いて陳列されているのはそんな訳なんです。
なんとかならないのでしょうか。
| ■ 命の電話 |
昨日 野原さん(仮名)から電話がありました。
めったに、居留守など使ったことなどないのですが、この人からの電話は
居留守を使いたくなります。
野原さんはうちの店と同じで個人商店を営んでいます。
いつも元気がありません。
昔はよく売れた店だったらしいのですが、近所に大手コンビニが沢山でき
大手スーパーも進出してきて、売上は激減しました。
それからノイローゼみたいになりました。最近みたいにポカポカ暖かく
なってくると(季節の変わり目)、鬱病みたいになります。
我々は「やめる病」と呼んでいます。
あちゃこちゃに「もう商売をやめる」と言って回るのです。
しかも彼は電話魔でいろんな所に電話をかけまくり、
問屋さんとか知り合いとかお客さんに「長い間お世話になりました。」とか、
うちには酔っ払って、「池ちゃん俺 も も もうダメだー ダメだー!」と、
電話がかかってきますが、いままで1度も店をやめたことがありません。
閉店セールを2回もやってます。
「閉店セールやったら お客さん ものすごく来るでしょ?」と、聞くと
「うん! そーなのさ!えへへ!」と答える野原さんの後頭部に
拳固をしたくなるのは私だけなのでしょうか?
それだけならいいにですが、彼の趣味は散弾銃とライフルです。
2つとも持ってるそうです。実弾も持ってます。あたりまえでですが
銃器所持の免許も持ってます。
彼から電話があると私が居留守を使いたくなる理由はそれなのです。
「もうダメだー!」と電話がかかってくるわけですから、下手な
対応をして大変なことになったら困るからです。銃を持ってるからです。
銃口を口の中に入れ、足の親指で引き金を引き「ドカーン」という
想像がどうしても頭をよぎるのです。
また忙しい時に限って、彼から電話があるんです。
命の電話の相談員みたいに、一通り「うんうん ハイハイ ヘー!」
などど話をきいて、それからはげましの言葉を添えたりなんかして、
やっと機嫌がよくなること30分です。
電話を切った後、
私は..「はぁー」と、ため息をつき、仕事につきます。
それから なんだか 疲労困ぱいのからだにむちを打ち立ち上がる瞬間、
目まいを覚えたりなんかするわけです。
「なんだかなぁー」と、無意識にそんな言葉を発してしまう....春です。
野原さんがんばってね....
| ■ 漬物屋のナナセ |
漬物屋のナナセ(仮名)は
漬物屋なので市場に来て買うものはだいたい決まってます。
主に 大根、玉な(きゃべつ)、白菜、きゅうりです。
もう50歳を過ぎてます。やっと商売が軌道に乗りました。
彼は子供の頃、彼の親が商売で失敗し2度夜逃げを経験してます。
真夜中、親に起こされ、知らない土地に連れられて行った生々しい体験談を
笑いながら語ります。夜逃げを笑いながら語るナナセは人生を達観した
人間のようにも見え たのもしくもあり、勉強にもなりです。
たまの楽しみはソフトボールだったのですが、最近少し余裕も
出てきたのか、ゴルフへの転向を試みました。
打ちっぱなしをかなりこなし、去年ついにグリーンデビューを
果たしました。市場の幹部連中主催のコンペです。
前日彼はスポーツショップへ行き、ボールを買いに行きました。
ソフトボールをよくやっていたせいでしょう、ゴルフにも練習球と
試合球(しあいきゅう)の区別があるのだと思い、ゴルフコーナーの店員さんに
「あのー 試合球下さい。!」とたずねました。
店員さんは はたと考えたそうです、そして奥のほうへ行き
ボールを取り出してきました。それから清算をすませました。
普通のボールよりやっぱり高かったそうです。
「さすが試合球だな!値段が違うよ値段が!全然!」
ナナセは満足でした。そしてそなえは万全でした。
次の日、彼はグリーンの上にいました。市場のハイソサエティな幹部達と今
同じ土俵にいます。振り返り思えば、2度夜逃げを経験し、苦労して
今の工場を立ち上げ、朝から晩まで働いて、商売が軌道に乗った時には
もう50歳の峠を過ぎてました。
いろいろな想いが走馬灯のように頭をよぎります。
感傷的な気持ちにならざるをえません。
この日のために奥さんが新調してくれた白いジャンパーが
目にまぶしいほどです。雲ひとつ無い快晴です。まるで彼の
グリーンデビューを祝福しているかのようです。
彼の番がやって来ました。打ちっぱなしでかなり自信をつけて
きたことと、なによりもソフトボールでバッティングを
長年こなしている彼にはボールインパクトのコツは誰にも負けない
自信があります。ティーにボールを乗せる動きは初めてのグリーンとは
思えないほど冷静でおもむろです。
一度だけチラと首を横に倒し遠い目標を見据えました。
遠くをにらむ彼の目はまるでカミソリのように細くなります。
沸き起こるいろいろな思いを道づれに 渾身の力を込めて
ナナセはクラブを振り下ろしました。
すばらしいインパクトの音とともに
ボールは天高く舞い上がりました。そして
なんと 飛んで行くそのボールから煙がでてきたのです。
始球式のボールでした。
ナナセは始球式のボールを買ったのでした。
その後ナナセは一生懸命みんなに口止めをしました。
しかし、もう次の日 市場でこの話を知らない人間はいませんでした。
それからナナセが ゴルフをしてる姿を みた人間もいませんでした。
| ■ 山下君の食べ方 |
山下君は市場の中の青果卸売問屋さんに勤めています。
担当は果物です。
お相撲さんみたいに良い体格をしてます。
風貌が西郷隆盛に似ている事から、まだ20代のはずの彼に
みんな すれ違う時、会釈をしてしまいます。
見た目で完全に、もうかっちゃてますよね。
彼の食べ方は半端じゃありません。
食堂に行き カツ丼とその他に大盛りのどんぶりライスを注文します。
どうやって食べるのかと見ていると、まずカツ丼の上に
のっかってる具をどんぶりライスの方に器用に載せ替えます。
そして具を取った方は汁だけで食べてしまい、その後カツ丼を
食べるといった具合です。
ラーメン屋さんでは、
山下君「ラーメンライスとライスください!」
店の人「あのー ラーメンライスにはライスが付いているんですよ!」
山下君「知ってますよ!そんな事!
ラーメンライスの他にライスが欲しいんです!。」
こんな感じなんです。
| ■ 洗車 |
扇寿司(おおぎずし)のマスターが新車を買ったという噂が広まったのは
あっという間でした。
すこしの間、お店の横にその新車は確かに存在してました。
しばらくして、常連さんが店に行き気が付きました。
車がないのです。マスターご自慢の車が 買ったばっかの車が無くなっています。
当然、常連のお客さんは
「あれっ! マスター? 車は?... !どしたの?」
マスターは怒ったようにむっとして答えようとしませんでした。
奥さんも視線をそらし、話をそらします。
常連さんは思いました、
世の中には、聞いて良いことと悪いことがあると、経験的に直感しました。
ここのマスターが短腹(タンパラ)なのは承知のことです。
この夫婦の雰囲気を見て、常連さんは、すぐさま貝のように口をつぐみました。
それから、またしても、入ってくる常連のお客さんが同じ事を質問します。、
「あれっ! マスター? くる.......」
前から来て座っていた常連さんが、その質問を遮るように、あわてて顔をブルブルし
片目をパチクりさせながら、手を胸元で小さく両方に振り
「聞いちゃダメ!ダメ!ダメ ダメ」とアピールします。
世の中には、聞いて良いことと悪いことをやはり察知した次の常連さんが、
みんなの雰囲気を見て、また、すぐさま貝のように口をつぐみました。
それから、またしても、入ってくる常連のお客さんが同じ事を質問します。、
「あれっ! マスター? く .......」
ダメダメをアピールする人数が1人増え2人増えしていきます。
そして、常連さん達のの頭の中には疑問だけがストレスのように募っていきました。
「いったい何があったんだ!」
真相は以外に早くわかりました。
もはや隠しておくことは出来ないと悟った奥さんの重たい口が開いたのです。
マスターは洗車に行ったのでした。
今流行の 門のような形をした機械が車の上を前後しながら、洗っていく無人洗車場です。
機械の方が勝手に前後に動いて洗車してくれる仕組みをマスターは知りませんでした。
お金を入れ、スタートボタンを押し、あわてて車に乗り込み、自分で車を前後に動かしたのです。
前進!バック! 前進!バック! 前進!バック! 前進!バック! 前進!バック!
前進!バック! 前進!バック! 前進!バック! 前進!バック! 前進!バック!
車はコペコペになりました。
あっちゃこっちゃぶつけて
マスターの車の修理代金40数万円
洗車場の機械もオシャカになり修理代80数万円
(しかし幸い洗車場の経営者は保険に入っていたため経営者の方には実害はなし)
その洗車場に
「初めてご利用の方は係員に相談の上ご使用下さい。」と書かれた看板が
無人であるにもかかわらず設置されたのは
それから1週間後でした。